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愛しの酒器 By 炎芸術








香港出身の陶芸家アマンダ・トンは14歳の時、留学先のロンドンで陶芸に出合い、香港、日本と拠点を移しながら作品を発表してきた。

陰と陽、相反する2つのエネルギーが互いに作用しながら万物の生成と消滅を司るという陰陽思想から生まれたのが "The Perfect Imbalance" シリーズ。身体も陰陽のバランスの上に成り立ち、このバランスの比喩として、練上げなどの技法による黒と白がミックスする文様を用いる。器を見て触れることで、日々異なる心身の状態を感じてバランスを意識し、 器を使うことで癒しを与えたいと願っている。

それらは、黒と白の磁土をロクロ成形で練り上げ、水墨画のような模様を作り出す。サテン素地のような光沢が出る透明釉を器の内側と口に施し、焼締め部分は磨いて滑らかな質感に仕上げる。プレートは刷毛を走らせたような模様が彼岸と 此岸を隔てる川にも見える。徳利とぐい呑は、ロクロのスピードを活かしたマーブル模様に刹那の美しさと輪廻する生命を感じる。

制作で思い浮かべるのは記憶の中にある風景。香港で家族と囲んだ食卓、友人と過ごしたロンドンの街。異なる文化に触れ、発見を重ねてきた作品は旅するように様々なエッセンスを取り込みながら進化する。予測不能な激動の時代だからこそ、今を大切に生きると言うアマンダの作品は、現実を受け入れつつ今この一瞬、瞬間を慈しむ心を映している。



By 炎芸術

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